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「Taking Sides それぞれの旋律」初日感想 [公演感想]

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加藤健一事務所vol.105
「Taking Sides それぞれの旋律」
作:ロナルド・ハーウッド
訳:小田島恒志 小田島則子
演出:鵜山 仁
CAST 加藤健一 今井朋彦(文学座) 加藤 忍 小暮智美(青年座) 西山聖了 ・ 小林勝也(文学座)
STAFF 美術:乘峯雅寛 照明:古宮俊昭 音響:青蔭佳代 衣裳:加納豊美 舞台監督:畑﨑広和 制作:加藤健一事務所
【あらすじ】
第二次世界大戦後のドイツ・ベルリン。ナチスに勝利した連合軍により、非ナチ化政策 ― ドイツ社会からのナチ体制徹底除去が行われていた。 当時、世界的に偉大なオーケストラ指揮者としてドイツで活躍していたフルトヴェングラー(小林勝也)は、ヒトラーの寵愛の元、戦時中もナチス政権下のドイツに残って活動を続けていたことから「ナチ協力者では―――?」と戦犯の疑いをかけられ、連合軍取調官アーノルド少佐(加藤健一)に尋問を受ける。戦争未亡人のタマーラ(小暮智美)がその嫌疑を釈明しにやって来るのだが、話を逆手にとったアーノルドはますます追及の火を燃やすことに・・・。 陰湿かつ冷徹に執念深く身辺調査を続けるアーノルド。度を越した追及の厳しさに、フルトヴェングラーを敬愛するアーノルドの部下・デイヴィッド中尉(西山聖了)と秘書のエンミ(加藤忍)は反発を覚え、次第にフルトヴェングラーを擁護し始める。
そんなある日、アーノルドはついにベルリン・フィル第二ヴァイオリン奏者であるローデ(今井朋彦)から、フルトヴェングラー糾弾のための有力な情報を入手する。再び尋問に呼び出されたフルトヴェングラーは、これまで同様、政治を超越する芸術の力とナチに対する自身の反抗を主張し一流の芸術家として毅然とふるまうのだが、アーノルドがローデから手に入れた情報をちらつかせると一変して動揺の色を見せ始める・・・。(加藤健一事務所HPより)
【上演時間】2時間30分(15分の休憩を含む)
【感想】
「Taking Sides」を本多劇場で観てきました。色々と考え、感じ、そして感動しました。こういう感動を与えてくれるお芝居を観ることができて幸せです。多くの方に観てほしいです。
戯曲もよくできてるし、登場する人それぞれがぴったりと役にはまっていて、パワーを感じました。

(以下、ネタバレあります)
政治のことにはまったく興味がなく我が道を行く芸術家フルトヴェングラー(小林勝也)と芸術のことにはまったく興味がなく、真実を見つけ出そうとする連合国取調官アーノルド(加藤健一)の対比が予想以上に面白かったです。エンミ(加藤忍)やデイヴィッド(西山聖了)やタマーラ(小暮智美)があまりにもフルトヴェングラーを擁護するので、アーノルドの見方の方が正しいんじゃないか?と思ったり、アーノルドが執拗にフルトヴェングラーを追い詰めるのは、何か他の理由があるんじゃないか?とか色々考えながら観ていました。
ローデ(今井朋彦)がフルトヴェングラーのことで心に響くようなことを言っても、アーノルドは「そういう観念的な話はやめてくれ」と言って話を遮ってしまうのが印象に残っています。

アーノルドの存在によって、ナチによるユダヤ人虐殺の光景が蘇ってきました。悪夢にうなされているアーノルドを見て、ふと「詩人の恋」のマシュカン教授を思い出したり・・・ 
タマーラ(小暮智美)の言葉からも若くて前途ある人が殺されてしまった事実を実感して辛かったです。
ローデ(今井朋彦)の言葉からは〝権力の計り知れない怖さ”を痛感しました。この時代に生きていた人たちだけの話ではなく、今の時代に生きている私も考えておかないと・・・って思います。
このお芝居に登場する人たちそれぞれが何かを抱えていて、それがぶつかりあって生み出されるもの、そういうものをこの舞台から感じました。
ラストのフルトヴェングラーの言葉は、深く心に沁みました。この感動は忘れないと思います。芸術を愛する方には、ぜひこのお芝居を劇場で観てほしいです。

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