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「Taking Sides それぞれの旋律」本多劇場千秋楽感想 [公演感想]

Taking Sides 3.JPG

【感想】(ネタバレあります)
加藤健一事務所公演「Taking Sides それぞれの旋律」本多劇場千秋楽の感想です。
登場する一人一人の言葉がはっきりと自分の中に入ってきた感じがしました。どの人も自分の思っていることを的確に伝えようとしていると思います。
なのにフルトヴェングラーが(小林勝也)がナチ政権下のドイツにとどまった理由は、「この国とこの国の人々を愛しているから、悲惨な状況で自分だけが逃げ出すわけにはいかなかった。音楽を守りたかった・・・」と話すと、アーノルド(加藤健一)は「まったく答になってない」と一笑するんですよね。自分の価値観だけでものを見ようとする人には、何を言ってもわかってもらえないんじゃないか・・・って思いました。「独裁者」って言葉がこのお芝居の中で何回か出てくるけれど、この取り調べではまさにアーノルドが独裁者って感じでした。
そのアーノルドに対抗するのが、子供の頃にフルトヴェングラー指揮の音楽を聴いて、世界が変わったというデイヴィット(西山聖了)と音楽を心から愛している秘書のエンミ(加藤忍)。二人の心は音楽によって救われているし、アーノルドの冷酷な取り調べ中でもフルトヴェングラーはこの二人の存在によって、かなり慰められただろうと思いました。
アーノルドがユダヤ人収容所で見てきた記憶から逃れられず、苦しんでいる様子を見ると、この人に芸術の力が働いたら少しは楽になれるんじゃないか・・・と思いました。

ラストシーンのアーノルドとフルトヴェングラーの対決シーンはすごいと思います。アーノルドからはユダヤ人虐殺へのどうしようもない怒りと、フルトヴェングラーからは、音楽の力を信じてきた信念を感じて、感動しました。
舞台には瓦礫の中に、楽器や焼け焦げた楽譜があったのですが、劇場を出る時にそれらが演奏したがっているように感じました。

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