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「あの戦争から遠く離れて」 [戯曲・本]

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「遥かなる絆」の原作、「あの戦争から遠く離れて」著:城戸久枝を読みました。

ドラマは現在と過去が交互に出てきたけれど、本は一部 家族への道(父の時代)と
二部 戦後の果て(わたしの時代)とに分かれていました。

一部はドラマと重なる部分が多くて、読んでるとドラマのシーンが浮かんできました。
城戸幹さんの「自分は日本人だ!、どうしても帰国する!」という気持ちの流れは、
ドラマよりもわたしは原作からの方がすんなり入ってきました。

二部では、ドラマでは描かれていなかった祖父の城戸弥三郎さんのこと、中国
残留孤児に対する国家賠償のことなどが詳しく書かれていました。
満州国軍、シベリア抑留、帰国した中国残留孤児の方々が抱えている問題・・・
わたしはそういうことをほとんど知らなかったので、この本を読んでよかったと
思ってます。

ドラマとのちがいは、久枝さんの中国人の友人・劉成さんが原作ではでてこな
かったのが意外でした。それとドラマでは、最後、幹さんと久枝さんが二人で
頭道河子村を訪れるシーンがあったけれど、原作では久枝さんが一人で訪問
されてました。
久枝さんがその村を訪問したいと幹さんに相談したとき、幹さんは大反対だった
そうです。理由は、中国の都会と農村の経済格差は著しくて、ましてや日本人
が訪れたとなると何を要求されるかわからないと思ったから。
実際の訪問の時には何事もなかったけれど、そういう危険性も考慮しないといけ
ない事実にびっくりしました。

久枝さんが、「あの戦争」と表現されてるんですが、わたしにとってもあの戦争は、
過去のものであって、関わりを感じることがなく生きているんですが、その時に
どういうことがあったのか、人がどういう思いをして生きてきたのかを知っておいた
方がいいと、この本を読みながら思っていました。

城戸久枝さんの文章はよみやすくて、わたしの中にすっーと入ってきました。
事実やご自分の気持ちを飾らずに表現されいるな・・・って感じます。
大げさな表現じゃないけれど、心にじーんと響いてくる箇所が多かったです。
すばらしい本だと思います。

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戯曲「Old Wicked Songs」 [戯曲・本]

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「詩人の恋」の原作戯曲「Old Wicked Songs」を読んでみました。

ほぼ原作どおり、忠実に上演されているのに気付いて、びっくり!
“これって?”って思うセリフもちゃんと戯曲にあるんです。
「君、歌う人」「わたし、ピアノ弾く人」とかも・・・
追加されてるのは、「入れ歯」のところくらいかな。

カットされてるのも1ケ所でした。
マシュカン教授(加藤健一)がスティーブン(畠中洋)に「電話に番号
が書いてある」の後の、「自分で書いたんだ・・・母がカリグラフィーを
教えてくれた・・・」と話す数行だけ。

何回も観てるお芝居なんで、戯曲を読んでいると、セリフが頭の中で
聞こえてくるんですよね~
いつもこんな風に、英語が日本語におきかわったらいいのにな(笑)

ここで、わたしの好きなセリフの一つをご紹介します。
マシュカン教授が何でも合理的に考えるスティーブンに対して言う、
「人生はそう簡単にわりきれるものじゃない。心っていうものがある
んだ。それを働かせるんだ」
原作では、
「Life is not so clear-cut. There is a mind inside of there.
Make it work!」
となってました。

他にもいいセリフがいっぱいあるんですよ。
小田島恒志さんの日本語訳が出版されてほしいな~って思います。

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山頭火句集 [戯曲・本]

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「会って話してみたい歴史上の人物は?」という雑誌の中の質問に対して、
加藤さんが答えていた人が、「種田山頭火」でした。

「どんな人なのかな?」って思って調べてみたら俳人なんですよね。
略歴は明治15年生まれ、少年期に母が自殺、早大文学科中退。
帰郷して酒造業を営むが破産、流転。
43才で出家得度し、翌年から行乞流転の旅に出る。
昭和15年58才、松山市の一草庵で泥酔頓死。

略歴をみてびっくりでしたが、まず一冊本を読んでみました。

俳句集は読んだことはなかったので、どんな感じなのかな?って
思ってたけれど、一句づつ情景が思い浮かんできますね。
どんな気持ちで読んだのかな~?って考えたりして、面白かったです。

随筆も入っていて、お金は大事にしないが、お米は一粒まで大切に
するとか、水が好きとかそういう話も面白かった。
また読み返したいな・・・って思う本です。

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「オセロー」を読んで [戯曲・本]

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「レンド・ミー・ア・テナー」のお芝居で、オテロのオペラが歌われるということなんで、
シェイクスピアの「オセロー」を読んでみました。

あらすじは、ベネチアの傭兵隊長のオセローは元老院議員の娘デズデモーナと
恋におち、結婚する。ところが、オセローの部下イアーゴーが出世できないことを
恨んで、デズデモーナとオセローの副官キャシオーの仲をオセローが疑うように
謀る。オセローは嫉妬に狂い、とうとうデズデモーナを枕で窒息死させてしまう。
そのすぐ後、オセローは自分の思い込みであったとこを知り、短剣で自分の首
を刺す。

シェークスピアの四大悲劇の一つですが・・・ わたしは、こういう救いようのない
悲劇は読んだあとに、どーんと暗い感じが残るので苦手です。
ただ、オセローは何回か読んでるんですが、シェークスピアって、読むたびにちが
った発見があるな~って思います。

今回は、自分の妻を信じずに部下の口車にのって嫉妬するオテロは、「どうして
そうなるの?」って思うくらい、思いこみの激しい人間なんだけど、そういう風に
させてしまうイアーゴーの誘導が上手いな~って思いました。
ホントにうまくオテロのコンプレックス(肌の色のことや、年齢のこと)を刺激したり、
デズデモーナの性格の一部を自分の都合のいいように誇張したりするんです。

それと、デズデモーナ自身がオテロに愛されてるから、自分の言うことは何でも
聞いてもらえる・・・っていう感情が、なんだか高慢に感じました。
ハンカチを落としたことをオセローに素直に言えないのも悲劇への道筋になるん
だなぁ・・・って思ったり。

オセローは愛すればゆえにデズデモーナの不貞が許しがたく、憎しみのために
殺したのではなく、名誉の人殺しと最後に言ってるんだけど、こういう感情って、
わたしはとっても理解しがたいです。

「レンド・ミー・ア・テナー」のお芝居の中で、オテロのオペラがどういう風に絡み
合ってくるんだろう?
初日まであと1週間になりました! すごく楽しみです^^)

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「半自伝 このままでいいのか、いけないのか」 [戯曲・本]

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小田島雄志さんの「半自伝 このままでいいのか、いけないのか」
また読んでみたいな~って思って、久し振りに読み返してみました。

満州から引き揚げてこられた中学生の頃から、40代でシェイクスピアの全訳を
完成された頃までの出来事が綴られています。
小田島雄志さんがどういう風に、演劇やシェークスピア、そして翻訳に関わって
いかれたのか、その過程がよ~くわかって、とても面白かったです。
人との出逢いが、その人の生き方に大きく影響するってことをあらためて思い
ました。そして、小田島さんがそのことにとても感謝しながらこの本を書いて
おられるのを強く感じました。
本の中に、見られた演劇、映画、絵、読まれた本、聞かれた音楽などがリスト
アップされてるんですが、すごい量と幅の広さ。

本のタイトルにもなってる文章のハムレットの独白、
「To be, or not to be, that is the question.」を
「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ」と訳されているのは、
すごいなぁ・・・と思います。

この本の帯に、
ふりかえってみると、ぼくはこれまでの生涯に何度か、「このままでいいのか、
いけないか」と自問したときがあった。それは決まって、「このままではいけない
んじゃないか」というときに発せられた。自分をかえりみるとき、「このままでいい
のだ」と思うときはめったにない。(本文より)
と書かれていました。

その文章に惹かれて購入したのが、数年前。
「このままでいいのか?」と迷っていたときです。そして、今また「このままでいい
のか」と迷ってます。
「迷い」がふっきれたとまでは言えませんが、この本を読んで何かしらパワーを
もらった気がします。

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戯曲「コミック・ポテンシャル」 [戯曲・本]

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初演の前に戯曲を読んだのですが、最初の印象は、「ジェシー」って
すごくいい役だなぁ・・・って思いました。
わたしがもし女優だったら、この役いい!って思った(笑)
アラン・エイクボーンの戯曲はわりと読んでるんだけど、「女性」が
中心なのが多い気がします。

9月号のNHKラジオの英会話上級のテキストに小田島恒志さんが
「コミック・ポテンシャル」の翻訳のことを書いておられると
加藤健一事務所のHPに載っていたので、読んでみました。

英語のジョークを日本語で面白く表現するのって難しい、といつも思ってる
んだけど、そういう場面の訳も載ってました。
ジョークって「訳」じゃなくて、「造る」ものだから、完成品を見ると、
なるほど・・・って思うけれど、自分で一から造るのは至難の技です。
ぴったりの台詞が当てはまったら、面白いだろうけど。

自分の好きな翻訳家の訳をそっくりそのままマネするのが、上達への道だ
とある本で読んだので、わたしは小田島恒志さんの訳をマネようと思って
ます。
自分の訳って、べたっとした感じなんだけど、恒志さんの訳はリズムが
あって動いてるんですよね。マネしたいなぁ。

エッセイを読んでいると、「コミック・ポテンシャル」の細かい場面を
思い出してきました。
恒志さんが感動した台詞の場面も書いてあったんですが、わたしはその
台詞を忘れてました。
やはり人によって心に残ってる台詞ってちがうもんですね。


☆お知らせ
 加藤健一事務所次回公演 「コミック・ポテンシャル」
    ・10/21(水)~10/31(水) 下北沢 本多劇場    
    ・11/3(土)(祝) 兵庫県立芸術文化センター・中ホール
    ・11/4(日)    京都府民ホールアルティ

シャドウランズ [戯曲・本]

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「モスクワからの退却」の作者ウィリアム・ニコルソンの名前を目にした時、
どっかでみたことがあるな~って思ってたら、わたしが好きな戯曲、
「シャドウランズ」の作者だったんですよね~
好きな戯曲なんで、紹介しま~す。

「シャドウランズ]は、「ナルニア国物語」を書いた作家C・S・ルイスがモデルの
戯曲で「永遠の愛に生きて」というタイトルで映画化もされています。

あらすじは...
オックスフォード大学の教授で童話作家のルイス(呼び名はジャック)は兄と
二人暮らし。
ルイスはアメリカ人のファンの女性ジョイから手紙をもらい、会うことになります。
二人は友人になり、その後、子連れで離婚したジョイがイギリスに滞在するために
形式的に結婚しますが、病魔がジョイを襲い...

続きを読む


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戯曲「モスクワからの退却」 [戯曲・本]

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加藤健一事務所の次回公演「モスクワからの退却」の戯曲を読みました。

お芝居を観る前に戯曲を読むのはどうかな~?って思ったりもするんだけど、
翻訳を勉強してることもあって、先に読んでみました!

わたしはこの戯曲、すごく好きです。
三人の心の動きが丁寧に台詞で表現されていて、どうなっていくのかな~?
っていう興味を止められずに一気に読んでしまいました。
まだ一回しか読んでないのですが、最初に感じたのは台詞の一つ一つに
リアリティがあるな~ってこと。
登場するのは夫婦とその息子だけなんだけれど、夫、妻、息子、父親、母親、
男、女...と一人一人の色々な面が見えてきました。

わたしの好きな“会話劇”です!
台詞のやりとりがすごいので、舞台で三人の役者さんがどんな風に演じて
くれるのか、とっても楽しみ。

戯曲を読みながら舞台を想像してたんだけど、こういうお芝居を加藤健一
事務所で観たことがないんじゃないかな...
今から初日が待ち遠しい~


☆お知らせ
 加藤健一事務所の次回公演 「モスクワからの退却」
     6/6(水)~6/20(水) 下北沢 本多劇場
     6/23(土) 湘南台文化センター 市民シアター
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