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「サンシャイン・ボーイズ」本多劇場千穐楽感想 [公演感想]

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【感想】(ネタバレあります)
加藤健一事務所公演「サンシャイン・ボーイズ」本多劇場千穐楽を観てきました。
千穐楽は下手の前の席だったので、下手の背もたれの椅子が素敵なことに気づきました。今は古くなっているけれど、昔は豪華なスイートルームだったんだろうな~と思いました。
部屋にはサンシャイン・ボーイズ時代の写真がいっぱい飾られています。ウィリー(加藤健一)はアル(佐藤B作)のことが大嫌いだと甥のベン(加藤義宗)に話しますが、本当に嫌いなら二人の写真を飾らないと思います。アルが10数年ぶりにウィリーの部屋を訪ねてきた時にその写真を見てちょっとほっとしたんじゃないかな。ウィリーの部屋は暖房も効かず、その暮らしぶりをアルも察したと思います。一方、アルは幸せそうに家族の話をするけれど、同居している娘たちとは”干渉もせず”との言葉に孤独を感じました。
ウィリーは演劇雑誌「バラエティ」を毎週読んでいて、訃報記事もチェックしています。知人が亡くなっていく事実になんとも言えない寂しさを感じました。2年前に観た時には感じなかった感覚で、自分の周囲にも知人の訃報が増えたせいかもしれません。
TVの特番のための一回限りのコンビ復活があるのか?と思いきや、大げんかになり、ウィリーは心臓発作で倒れてしまいます。自宅療養中にベンから「もう仕事はできない、引退だ」と告げられる場面は切ない気持ちになります。今後の選択肢はベン家族と同居するか、アクターズホームという介護施設に入るかの二つしかない。ベンが叔父さん想いの人だからまだ救われます。ベンが話し終わって「これでだいぶほっとしたよ」という言葉は印象に残りました。
ウィリーの部屋にアルが尋ねてきますが、この再会の場面は大好きです。二人が笑いながら握手するときは心があたたかくなります。
ラストシーンのベットで寝ているウィリーの隣でアルが一人話している場面は、初演より面白いと感じました。アルはこれからもこんな風にしゃべっているだろうし、ウィリーはその横で頭を抱えながら苦笑いしている。この二人はずっとこうなんだろうな~と微笑ましくなりました。
「サンシャイン・ボーイズ」はニールサイモンが悲劇を書くと宣言した戯曲ですが、今回悲劇だというのがよくわかりました。その中に涙あり、笑いあり、不器用な優しさがあります。それとウィリーに送られてくる数々のプレゼントやお花、電報は今回ホンモノだとわかりました。ウィリーは多くの人に愛されてる。
加藤さんとB作さんのコンビは最高です。息がピッタリというのはこういうことなんだなぁって思いました。カーテンコールでは心から拍手を送りました。素敵なお芝居を創ってくれた出演者、スタッフの皆様、本当にありがとうございます。
本多劇場の公演は始まったと思ったらすぐに千穐楽がきてしまい寂しいです。もう少し長く観ていたかったな~と思います。
本多劇場の公演の後またツアーが始まっています。2月27日の大千穐楽まで無事に上演されることを願っています。

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