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「スカラムーシュ・ジョーンズ or 七つの白い仮面」初日感想 [公演感想]

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加藤健一事務所vol.112
「スカラムーシュ・ジョーンズ or 七つの白い仮面」
作:ジャスティン・ブッチャー
訳:松岡和子
演出:鵜山 仁
CAST:加藤健一 
STAFF
美術:乘峯雅寛 照明:古宮俊昭 音響:秦 大介 映像:浦島 啓 衣裳:加納豊美 マイム指導:小島屋万助 舞台監督:畑﨑広和
上演時間:1時間40分(休憩なし)

【あらすじ】
1899年12月31日、十九世紀の終わり、大晦日のカーニバルの中、美しい褐色の肌を持つ女から生まれた小さな赤ん坊は抜けるように白く、何か特別なことのために生まれてきた子だ…と、つけられた名前は道化師を意味する、スカラムーシュ。生涯で唯一“我が家”だといえる場所を僅か6歳で後にし、たった一日で孤児となり、奴隷となり、流浪の身となり…そしてこれが、これから長く続く波瀾万丈な旅路へのスタートとなる。時にその光景や匂いに恍惚とし、この世のものとは思えぬ魅力的な音楽と共に旅をした。自身の透き通るような白い肌によって巻き込まれた数奇な運命は、恐怖と喜びに満ちていた。そして今夜は1999年12月31日、二十世紀のどん尻でありミレニアム・イブ。大きな花火が打ち上がる大晦日にスカラムーシュ―道化師―が己の人生を、仮面を剥がすように語り始める。(加藤健一事務所HPより)

【感想】
「スカラムーシュ・ジョーンズ or 七つの白い仮面」本多劇場初日観てきました。
劇場に入ると、舞台の上はサーカスの楽屋で色んな物がおいてありました。これを見るだけで”これからどんなお芝居が始まるのかな?”ってワクワクします。戯曲は読んでいたけれど、スカラムーシュが旅する道と7つの仮面をつけていく場所がパンフレットに書いてあったので、再確認しました。これから観る方はパンフで地図を見ておくのがおすすめです。
加藤さんは100歳の道化師役ですが、時には子供になったり、ジプシーになったりします。お芝居が進むにつれて表情がどんどん変わっていって、とても素敵でした。
8月28日が千穐楽です。興味のある方は、ぜひ本多劇場で加藤さんの一人芝居を観てほしいです。
以下、ネタバレあります

幕があき、スカラムーシュ(加藤健一)が登場しますが、これまで見たことのない姿の加藤さんにびっくりしました。100歳の誕生日を迎えたスカラムーシュは、今日がこの世での最後の日だとわかっていて、これまでの人生を聞かせてくれます。
ジプシーの母・メルキアデスから生まれた子供は真っ白でスカラムーシュ(道化師の意味)と名付けられます。この子はお父さんが誰なのかすごく知りたくて、色々な人に尋ねるのですが、その尋ね方がとてもかわいい! メルキアデスはなかなか教えてくれないけれど、ある日「お父さんはイギリス人」だと話してくれます。その翌日お母さんは突然亡くなり、6歳のスカラムーシュは孤児になってしまい、流浪の旅が始まります。スカラムーシュが修道院にいる頃、同じ修道院にかくまわれていた人たちのことをさりげなく話しますが、当時ナチによる弾圧の酷さが伝わってきました。
スカラムーシュもゲシュタポに捕らえられますが、肌の白さのために生かされて、収容所での墓堀をさせられます。掘った墓穴に死体が運び込まれると、その死体に石灰をかけるのも彼の仕事でした。子供に石灰をかける時、とても辛そうに涙を浮かべていたスカラムーシュの表情は一生忘れないと思います。

ある時からスカラムーシュは処刑の列に並んでいる子供を笑わせようと試みます。恐怖でガチガチになっている子供たちに一瞬でも恐怖を忘れさせてあげたかったんだと思いますが、それができたのはスカラムーシュだけだと思うし、お母さんが言ってたように彼は特別な人だと思います。
その後スカラムーシュは戦犯で捕らえられますが、収容所での彼の行動が再審理され、判事の前でマイムを再現します。そのマイムが素晴らしく涙がでました。
彼は釈放になり、念願のイギリスに行けることになります。その時にパスポートを作る際の役人とのやりとりが面白かったです。まるで落語みたい。
マイムのシーンも好きですが、私はイギリスに着いてからのシーンも大好きです。そのあたりのことは千穐楽が終わってからブログに書きたいと思っています。

「スカラムーシュ・ジョーンズ」のお芝居は、加藤健一さんにしか上演できないと思います。「笑い」の大切さをあたらめて実感しています。色々なことを感じたり考えたりするこのお芝居を、今観ることができて本当に良かったです。

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